金融庁は24日、トヨタ自動車の販売子会社であるトヨタモビリティ東京(東京都)に対し、保険業法に基づく業務改善命令を出した。保険代理店業務における管理体制に問題があるほか、多数の保険金不正請求が存在する可能性があると指摘し、社内調査の徹底と2月21日までの改善計画提出を求めた。同様の命令は中古車販売大手のグッドスピード(名古屋市)にも行われた。
2023年に発覚した旧ビッグモーターによる保険金不正請求を受け、金融庁は自動車販売業を兼ねる保険代理店の実態調査を進めていたが、今回の処分で問題が業界最大手にも及ぶ形となった。
トヨタモビリティ東京は2020年、グッドスピードは2023年に車両塗装費などに絡む保険金不正請求を公表している。トヨタモビリティ東京では4820台に関わる不正を認めたが、金融庁は調査が不十分で、修理に未使用の部品代を含む過大請求事案がさらに多数ある可能性を指摘した。
同社では顧客への保険商品の説明が不適切だったほか、虚偽の説明も確認された。さらに損害保険会社に顧客データのアクセス権を与え、2万3000件もの個人情報が漏えいする事態も発生。金融庁は経営陣が保険事業を「本業ではない」と捉え、内部統制に重大な欠陥があったと非難した。
グッドスピードに関しては、調査委員長の社外取締役が社内アンケートの回答を改ざんし、都合の良い内容に変更していたことも判明している。
トヨタモビリティ東京は24日、「再発防止を徹底し、信頼回復に努める」とのコメントを発表した。