フジ・メディア・ホールディングス(フジメHD)の株価は20日、大幅に上昇した。子会社のフジテレビが著名芸能人のトラブル報道で揺れる中、複数の企業が同局へのCMを見合わせる動きを見せたが、株主からの圧力を背景に構造改革への期待が高まった。
株価は続伸し、終値は前営業日比5.6%高。一時は8.2%まで上昇した。米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが第三者委員会の設置を求め、対応がなければ株主総会で議案を提案する方針を示したとの報道が17日に出たことが背景にある。
フジテレビを巡る問題の発端は、元SMAPメンバーの中居正広氏のトラブルやフジテレビ社員の関与について一部週刊誌が報じたこと。その後、対応の遅れや不透明さが批判を招いた。
週末にかけ、トヨタ、NTT東日本、第一生命、明治安田生命などがCMを見合わせる対応を発表。フジテレビの港浩一社長は17日の記者会見で対応を検証する考えを示したが、真偽への言及は避けた。週明けにはセブン&アイ、日産、東京電力、キリンなどもCM差し止めを決定し、日経新聞によれば20社以上に達した。
みずほ証券の岸本晃知アナリストは、アクティビスト株主からの要求が経営陣に対してさらに強まると予想。「今回の事態が低収益事業の見直しを進める契機になる可能性がある」とコメントした。PBRが0.4倍と割安感が強いことから、企業統治改革を含めた期待が高まっている。
フィリップ証券の笹木和弘氏は、経営陣の刷新と抜本的改革への期待が高まる中、「投資機会を狙う投資家が多い」と述べた。この日はメディア関連株も上昇し、TBSHDが6.2%、日本テレビHDが5.6%、テレビ朝日HDが2.6%それぞれ上昇した。
SMBC日興証券の前田栄二氏らによると、メディア業界全体で広告需要が10-12月期に堅調だったとみられ、日本テレビやTBSの好決算が期待されている。