自動車産業の労働組合である自動車総連(組合員約78万人)は、2025年春闘で年間休日数を5日増やすことを求める方針を発表した。自動車関連企業では年間休日が121日程度であることが多く、125日前後の他産業や公務員と比べて少ない状況にある。金子晃浩会長は「産業の魅力が低下する」と危機感を示し、賃金以外の労働条件改善を強調している。
自動車メーカーでは、生産効率を重視し、多くの祝日を稼働日に設定しつつ、年末年始やお盆に集中して休暇を取る体制を取っている。部品メーカーもそれに倣い、休日や稼働日を調整してきた。
しかし、近年では新たな祝日が増えても代休を設けないケースが多く、休日数が減少。これが人材採用面で不利になり、「採用活動時に驚かれる」(総連関係者)状況が続いている。人手不足の悪化を懸念し、傘下労組から休日増を求める声が高まっている。
総連は、年間16日ある祝日の中から「成人の日」や「敬老の日」などを土日と合わせた3連休とする方針を示した。1995年に年間休日が121日となって以降、休日増を要求するのは初めて。傘下の主要労組は2月12日までに要求をまとめ、経営側へ提出する予定だ。
ただし、休日を増やすことで稼働日減少による生産性向上が課題となる。経営側は「これ以上の効率化は難しい」(大手メーカー幹部)と反発しており、休日増が実現するかどうかは不透明な状況だ。