県内では、南海トラフ巨大地震のリスクだけでなく、内陸部にも切迫度が最も高い「Sランク」に分類される活断層が2つ存在します。防災専門家は「いつ起きてもおかしくないという前提で、日頃の備えをこの機会に見直してほしい」と訴えています。
30年前の阪神・淡路大震災を受け、政府は全国の活断層帯のうち長さ20キロ以上で社会的影響が大きいものを重点的に調査し、30年以内に地震が発生する確率を評価しています。今年1月1日時点の評価結果が公表され、発生の切迫度は4段階で分類されます。その中で、確率が3%以上のものが最も高い「Sランク」に該当します。
全国114の主要活断層帯のうち、「Sランク」は32箇所で、県内では「富士川河口断層帯」と「塩沢断層帯」が含まれます。また、「Sランク」の中でも確率が8%を超え、阪神・淡路大震災前よりリスクが高まっている8箇所の中には「富士川河口断層帯」が含まれています。
このような情報をどう受け止めるべきかについて、東京大学大学院の関谷直也教授は「活断層や南海トラフ地震に関する情報が増えたが、100年近く研究が続いても予知は困難である。情報を正しく理解し、いつ起きてもおかしくないという意識を持つことが大切だ」と述べています。そして、「日常生活では災害を意識しないことが多いが、30年を迎えた阪神・淡路大震災を振り返る機会に、備えを確認してほしい。それが減災につながる」と呼びかけています。