画像は今回の件とは無関係のものです。
ドイツは、北部沖のバルト海で10日に漂流していたタンカーについて、ロシアが制裁逃れのため石油密輸に利用している「影の船団」の一部だと非難した。
10万トン近い石油を積載し、全長274メートルのタンカーが「操舵不能」と報じられた件に関連し、アナレーナ・ベーアボック外相は、ロシアが「老朽化した石油タンカー」を使用していることを批判。欧州の安全保障への脅威を指摘した。
このタンカーは「約9万9000トンの石油」を積み、ロシアからエジプトに向かう途中でトラブルが発生。ドイツの海上緊急対応局によると、タンカーはリューゲン島沖を低速で漂流していたが、タグボートで係留され、乗組員には無線機や懐中電灯が提供されたという。
荒天の影響で、港にえい航するかどうかはまだ決まっていない。一方、偵察機の調査では石油流出の兆候は確認されていない。
パナマ国旗を掲げていたこのタンカーについて、ドイツ外務省はロシアが制裁逃れに利用している影の船団の一部だとの見解を示した。
ベーアボック氏は「プーチン大統領は、老朽化したタンカーを用い制裁を回避しているだけでなく、（事故が起きれば）バルト海の観光業に甚大な影響を与えるリスクを無視している」と非難した。
ウクライナ侵攻を受け、西側諸国はロシア産石油に禁輸措置を課し、石油輸送船へのサービス提供も禁止。一方ロシアは、所有権が不透明で保険未加入のタンカーを用い、高利益の石油輸出を継続している。
米シンクタンク「大西洋評議会」によると、ウクライナ侵攻以降、影の船団の規模は急速に拡大。これまでにEUは、ロシアの石油を運ぶとみられる船舶70隻以上に制裁を科している。
さらに米国と英国は10日、新たに約180隻の船舶を制裁対象とすると発表した。