子育て支援で広がる首都圏格差|東京の圧倒的財政力に近隣県が反発

子育て支援で広がる首都圏格差|東京の圧倒的財政力に近隣県が反発

 昨年7月の東京都知事選で約300万票を獲得し、3選を果たした小池百合子知事。

 0~18歳の都民に月額5000円を支給する「018サポート」や高校実質無償化など、巨額な予算を伴う子育て支援策が支持され、今後もさらに施策が充実される見込みだ。しかし、埼玉、千葉、神奈川の3県からは、都の財政力を背景とした住民サービスの格差に対し強い反発が出ている。

 都はこれまでの施策に加え、9月から保育料無償化の対象を第1子にまで拡大する予定。さらに、小池氏の公約には「大学給付型奨学金制度の創設」も掲げられ、子育て支援のさらなる拡大が期待されている。一方、近隣県の批判に対し、都は地方交付税を含めれば財政差は大きくないと主張。合理化努力による財源確保もあると説明し、自治体ごとの優先順位で政策を進めるのは当然だとの立場を示している。

 しかし、企業が集中する東京都が豊かな税収を得ているのは事実であり、自治体間での基金残高の差も顕著だ。都の2022年度末の基金残高は約2兆3600億円に上る一方、3県の残高は約2600億~3900億円で、その規模感の違いが浮き彫りとなっている。

 格差解消のため税制改正を求める声もあるが、都と他県の利害調整は容易ではなく、現状での実現は難しいとの見方が一般的だ。当面は双方がそれぞれの立場で主張を続ける状態が続くとみられる。