生成AI、産業利用が進展 AIエージェント開発本格化【2025年】

生成AI、産業利用が進展 AIエージェント開発本格化【2025年】

 2025年は、多くの分野で生成AIの活用が進む転換点となりそうだ。

 文章や画像、動画、音声を処理するAI基盤モデルを活用し、人間の業務を支援・代行する「AIエージェント」の開発が加速する。ロボット技術との融合も注目される見込みだ。

 24年には基盤モデルがさらなる進化を遂げた。たとえば、音声操作で人間並みの応答速度を実現したモデルが登場。米グーグルやオープンAIがそれぞれ開発し、回答時間を1秒未満に短縮。自然な会話のように割り込んでの対応も可能となった。

 また、理数系の高度な問題に特化したモデルも開発された。推論を繰り返すため回答には時間がかかるが、精度が大幅に向上。オープンAIのアルトマンCEOは「汎用的で高度な推論ができるAI」として評価している。

 進化したAIモデルは、単なる「話し相手」から、業務支援や代行へと役割を広げる。米半導体大手エヌビディアのカリ・ブリスキ氏は「金融、医療、エンタメなど幅広い分野で影響を与える」と述べる。

 今後はAI開発企業だけでなく、さまざまな業種が基盤モデルを活用してエージェントを構築する流れが強まる。グーグルやマイクロソフト、アマゾン、セールスフォースなどが企業向けの基盤を提供し、社内業務の効率化や顧客対応の自動化が進むだろう。

 生成AIの中心人物とされるエヌビディアのフアンCEOは、エージェントだけでなく、ロボット技術への応用が進むと予測。アマゾンは物流拠点のロボットに生成AIを搭載し、画像認識を活用して作業効率を向上させている。

 さらに、人型ロボットの開発も進展しており、ソフトバンクグループが出資するノルウェーの1Xテクノロジーズ社のボルニッチCEOは、「生活の伴侶となり、あらゆる労働課題を解決するシステムを作りたい」と意欲を示している。