中国、公務員給与を10年ぶり大幅引き上げ 経済活性化の一環か

中国、公務員給与を10年ぶり大幅引き上げ 経済活性化の一環か

 中国政府が、国内の数百万人の公務員に対して異例の給与引き上げを実施したことが関係者の話で明らかになった。これは、減速する経済を下支えし、消費を刺激するための重要な政策の一環とみられている。この賃上げが全国の公務員約4800万人全員に適用された場合、総額で約120億~200億ドルにのぼる一時的な経済効果が見込まれている。

 中国で全国規模の公務員給与の引き上げが公表されたのは、今回が約8年ぶりとなる。前回の2015年には、汚職撲滅と消費者の購買力向上を目的に、地方公務員の給与を30%以上引き上げる措置が取られた。しかし、今回の昇給については政府から正式な発表が行われておらず、その財源や総費用、具体的な増額率などの詳細は不明のままだ。

 ロイターが取材した情報やソーシャルメディアの投稿によると、今回の賃上げでは公務員の月給が平均で約500元(68.50ドル)引き上げられたとされている。一部の下級公務員については、月給が約300元増えたとの報告もある。さらに、事情に詳しい関係者によると、多くの場合、昇給は7月にさかのぼって適用され、一括支払いの形でボーナスのように支払われたとのこと。

 この政策について、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの上級エコノミストである徐天辰(Xu Tianchen)氏は、「政府は支出意欲の高い層の消費を促進することを狙っているようだ」と指摘している。同氏によれば、これまでも中国政府は低所得層への現金給付や公共部門の給与引き上げといった政策を実施してきた。特に低所得層は収入の多くを消費に回す傾向があり、今回の公務員への賃上げもこうした目的に合致していると考えられる。また、公務員は社会保障給付が手厚いため、民間企業の従業員よりも支出意欲が高い可能性があるとも指摘されている。

 具体的な昇給額については地域差があり、中国南部の一部の教師や公務員は約10%の昇給を受けたと報告している。省政府の経済財政状況によって昇給額が異なることもあり、全国一律の措置ではないことが伺える。