千葉県市川市にある特別養護老人ホームで、入所していた89歳の女性が入浴中に全身にやけどを負い、搬送先の病院で死亡するという痛ましい事故が発生した。この事故は施設の管理体制や安全性について多くの疑問を投げかけている。
警察の調べによると、事故が起きたのは先月31日午後2時過ぎ、市川市にある特別養護老人ホーム「なごみ」でのこと。意思疎通が難しい状態にあったとみられる89歳の女性が、職員2名の介助を受けながら入浴していた際、全身にやけどを負った。女性はその後、浦安市内の病院に緊急搬送されたが、翌日1月1日午前1時ごろに死亡が確認された。
搬送を受けた病院が警察に「全身やけどの患者が搬送された」と通報し、警察が調査を開始。初期の調査によると、女性が入っていた浴槽の水温が異常に高かった可能性があるとされ、これがやけどの原因になったとみられている。
この老人ホームでは入浴時に介助のため必ず2名の職員が付き添う体制を取っていたが、今回の事故はその体制下で発生した。警察は、現場での入浴介助の手順や浴槽の温度管理に問題がなかったかを詳しく調べている。現在、事件性がある可能性も排除せず、事故と事件の両面から捜査を進めている。
高齢者施設での入浴介助は、特に注意が必要とされる業務の一つ。利用者が意思疎通を十分に取れない場合、特に体温や体感温度に異常があっても本人が伝えることが難しく、職員側の管理が重要になる。このような背景を踏まえると、今回の事故は単なる過失では済まされない可能性もあり、再発防止策の徹底が求められるだろう。