中国のテンセント・ホールディングス(騰訊)が開発したAIチャットボット「Yuanbao(元宝)」が、中国国内のiPhoneアプリダウンロードランキングでトップに躍り出た。これまで首位を維持していた「DeepSeek(ディープシーク)」を追い抜き、中国におけるAI競争の熾烈さを改めて示した。
「Yuanbao」は、テンセントが独自開発した大規模言語モデル「Hunyuan(混元)」と、ディープシークのAIモデル「R1」を統合したハイブリッド型のAIシステムを搭載。この技術力の高さが評価され、中国国内でのAIへの関心の高まりと相まって、一気にダウンロード数を伸ばした。現在、中国の無料アプリランキングのトップ5のうち3つがAIチャットボットで占められており、テンセントの「Yuanbao」、ディープシークの「R1」、そしてバイトダンス(字節跳動)の「Doubao(豆包)」がランクインしている。
このAI市場の急成長は、1カ月前にディープシークのチャットボットが登場したことで加速。中国のテクノロジー業界全体が活性化し、投資と新技術の投入が相次いでいる。アリババグループはAIインフラ整備のために約530億ドル(約7兆9000億円)の投資を発表し、テンセントもディープシークの「R1」を自社サービスに統合。SNS「微信(ウィーチャット)」の検索機能や、人気ゲーム「ピースキーパーエリート」内のバーチャルコンパニオンなどにAIを活用している。さらに、先週にはディープシークを凌ぐスピードで回答を生成できる「Hunyuan Turbo」も発表し、技術競争に拍車をかけた。
出典: ブルームバーグ