【自由通信】2023年10月7日に発生したハマスによる大規模攻撃について、イスラエル国防軍(IDF)が27日に公表した調査報告書で、軍の備えと対応に「組織的な欠陥」があったことが明らかになった。報告書によると、情報収集の不備や誤った前提が、ハマスの攻撃を防げなかった一因となった。
情報の誤認と分析ミス
19ページに及ぶ報告書は、イスラエル軍参謀本部諜報局がハマスの「戦略的目標や意思決定プロセス」、さらには作戦計画について十分な理解を欠いていたと指摘。その結果、ハマスが大規模攻撃を準備していたにもかかわらず、適切な対策を講じることができなかったという。
実際、ハマスは2016年の時点で、パレスチナ自治区ガザ地区の国境を突破し、「イスラエル領の占領」と「大規模な死傷者の発生」を狙った攻撃計画を進めていた。にもかかわらず、イスラエル軍はハマスの「訓練演習」や作戦計画を示す情報を誤解したり、「非現実的」と判断して却下したりしていたと報告書は分析している。適切な分析が行われていれば、ハマスの意図をより早く察知し、攻撃を阻止できた可能性があったとされる。
ハマスの戦略とイスラエル軍の対応
報告書によれば、ハマスは軍備増強を進める一方で、「平穏を求めている」という誤った印象を意図的に作り出していた。そして2023年5月までには、ユダヤ教の祭日にイスラエルの警戒心を揺るがし、「イスラエルの破壊を目的とした全面戦争」に発展させる攻撃を計画していた。
攻撃発生時、IDFはその規模と激しさに「不意を突かれ」、国境防衛を担うガザ部門はわずか数時間で壊滅。指揮統制が崩壊し、軍の対応は「状況認識の欠如」「部隊動員の遅れ」「兵器配備の不足」によって大きく妨げられたという。
軍の責任と今後の展望
攻撃を阻止できなかった責任を取り、IDFのハレビ参謀総長は3月に辞任する意向を表明。テレビ演説で軍の失敗を認めた。一方、イスラエルのネタニヤフ首相については、首席補佐官が「まだ調査を受けていない」と発言しており、政府の対応にも注目が集まっている。
画像: CNN