米連邦捜査局(FBI)は26日、北朝鮮政府が関与したサイバー攻撃により、暗号資産(仮想通貨)交換業者から約15億ドル(約2200億円)相当の仮想通貨が盗まれたと発表した。この事件は2月21日ごろに発生し、米メディアは単独の仮想通貨窃盗事件としては史上最大級の被害額だと報じている。FBIは、北朝鮮のハッカー集団「TraderTraitor(トレーダートレーター)」が犯行に関与し、盗んだ仮想通貨をマネーロンダリングして現金化しようとしていると警告を発した。
被害を受けたのは、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに拠点を置く交換業者「Bybit」で、世界大手のバイナンスに次ぐ規模を持つとされる。北朝鮮はこうしたサイバー攻撃で得た資金を、核やミサイルなどの大量破壊兵器開発に利用していると米政府は見ており、強い懸念を示している。トレーダートレーターは過去にも、2023年5月に「DMMビットコイン」から482億円相当のビットコインが盗まれた事件に関与していたとされている。
日米韓の3カ国は、北朝鮮のサイバー攻撃に対抗するため対策を強化しており、国連安全保障理事会でもこの問題を取り上げてきた。FBIは今回の事件を受け、仮想通貨業界への注意喚起を改めて行った。北朝鮮が世界中で仮想通貨を窃取し、兵器開発の資金源にしている実態が浮き彫りになっており、国際的な対応が急がれている。
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