「ディープシーク」データ処理をイタリアが制限、欧米で拡大するAI規制と個人情報保護の動き

「ディープシーク」データ処理をイタリアが制限、欧米で拡大するAI規制と個人情報保護の動き

 【自由通信】中国のスタートアップ企業「ディープシーク」が開発する生成AIをめぐり、イタリア当局は個人データの収集に関する情報開示が不十分だとして、イタリア国内でのデータ処理を制限し、調査を開始しました。

 アメリカのホワイトハウス報道官は28日、NSC(国家安全保障会議)が「ディープシーク」のAI技術による安全保障面での影響を調査していると発表しました。

 こうした中、イタリアの情報保護当局は30日、同社のデータ処理を制限するとともに、本格的な調査を始めたことを明らかにしました。

 当局は「ディープシーク」に対し、収集した個人データの種類や利用目的、中国のサーバーへの保存の有無、AIの学習データの詳細などを開示するよう求めていましたが、同社の対応は「全く不十分だった」と指摘しています。

 そのため、イタリアの利用者のデータを守るために今回の措置を決定したとしています。

 欧米では警戒感が強まっており、ロイター通信によると、アイルランドのデータ保護委員会も「ディープシーク」に対し、自国の利用者データに関する情報開示を要求しました。さらに、フランスの個人情報監視機関も同社のAIシステムの仕組みやデータ保護のリスクを把握するための調査を進めています。

 アメリカでは、連邦議会下院が「ディープシーク」の生成AIを業務に使用しないよう警告する通知を発したと、ニュースサイト「アクシオス」が報じました。

 また、オーストラリアの産業・科学担当相も「消費者データの収集やプライバシー問題について、早急に明確な説明が求められる」と発言するなど、世界各国で「ディープシーク」への警戒が強まっています。

画像: BBC