世界を揺るがす中国の最新AI「DeepSeek-R1」米企業データ不正取得疑惑も…「天安門事件」など特定ワードは回答拒否

世界を揺るがす中国の最新AI「DeepSeek-R1」米企業データ不正取得疑惑も…「天安門事件」など特定ワードは回答拒否

この記事は、1月30日に放送された「めざまし8」の一部をわかりやすく編集したものです。

 中国のAI企業「ディープシーク」が発表した最新の生成AI「R1」が、IT業界に衝撃を与えています。低コストで開発された「R1」の登場により、アメリカ製AIの優位性が揺らぐ懸念から、27日にはアメリカ株式市場でハイテク株が大きく売られ、半導体大手エヌビディアの株価が前週末比で約17%急落。現地メディアによると、時価総額で約92兆円が失われたとされています。

 一方、29日には「チャットGPT」を開発したオープンAIの技術をディープシークの関係者が不正に取得した疑いがあるとして、オープンAIとマイクロソフトが調査中との報道も。

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 番組では、中国の生成AIを使い渡辺和洋アナウンサーの写真を動かす実験を行い、わずか10分ほどでスーツ姿で渋谷を歩く動画が完成しました。

 低コストで高性能な“中国の最新AI技術”は今後どうなるのか。「めざまし8」は、ITライター柳谷智宣氏に詳しく聞きました。

 旧型半導体で高性能を実現した理由とは?柳谷氏によると、ディープシークはアメリカの輸出規制で最新半導体を使えない中、効率的な学習・回答技術を開発。必要な部分だけAIを動かす技術により、高性能を実現したという。

 オープンAIからのデータ不正入手疑惑についてディープシークのアウトプットに、オープンAIのみが使う言葉が出てきた場合問題視される可能性があるとの見解も示されました。

 一方で、「R1」は中国共産党の見解にそぐわない質問には「回答できない」と表示されることが分かりました。例えば「天安門事件を知っている?」や「共産主義とは何ですか?」といった質問です。

 なぜ中国でAI開発が進んでいるのか?背景には政府が「国家戦略」としてAI研究に本気で取り組んでいることがあります。軍事転用も可能な技術であるため、莫大な予算を投入し、社会全体で受け入れる文化が形成されているのです。さらに、14億人以上の人口から得られる膨大な学習データが高性能なAI開発を支えています。

 ITライター 柳谷氏「AIが普及することで便利なら使おうというマインドが広がり、社会に浸透しています」

日本の対抗策は?

 柳谷氏「日本は生成AIの活用率が低いのが課題です。言語の壁を超えられるAIを活用すれば、国際的な競争力を高められるでしょう」

 法整備も課題となる中、今後のAI技術の動向に注目が集まっています。

画像: 東洋経済オンライン